Vol.8 中国で日系企業が求める事務系人材像
ゴビ太郎です。今回のコラムは仕事上書いたメールからの抜粋です。
先日あるお客様から依頼を受けて、「日系企業が求める事務系人材像」という内容でボクが考えることをメールで書きました。最初は簡単にメモ程度のものをサクッと書いて終わりにしようと思っていたのですが、書いているうちにだんだん内容が多くなっていって、結局ちょっとした量になってしまったので、せっかくだからその内容をどこかに保存して、有効活用できるようにしようと思い、このコラムに清書して整理しておくことにしました。
これまでもいろいろなところでご案内してきていると思いますが、ゴビーズが提供するサービスの一つに、採用支援サービスがあります。企業の採用支援を多方面からサポートするサービスなのですが、このサービス提供を通して、ボク、ゴビ太郎自身もたくさんの企業の採用担当者様と会うことができ、また、たくさんの就職希望者と接する機会がありました。その経験をもとにタイトルにあるように「中国で日系企業が求める事務系人材像」をまとめてみました。あくまで私見ですが、一般の企業の要望とそんなにずれていないと思いますよ。
また、最近は採用支援関係でゴビーズにお仕事のお話をいただくことも多いので、こんな内容でコラムを書くのもちょうど良い機会かと思います。最近作成して配布している「合同面接会をモノにするための虎の巻」もなかなか好評のようですし。まだご覧になっていらっしゃらない方はぜひご覧になってみてください。中国での採用活動だけでなく、日本での採用活動にも結構役に立つと思いますよ。
ダウンロードページはこちら → http://cn.gobies.com/ja/company-seminar/622.html
本題に入る前に最初に補足ですが、テーマを「日系企業が求める人材」とすると範囲が広くなりすぎるので、対象とする人材を「事務系人材」と限定しました。その理由は、そもそもなぜこのような内容のメールを書くことになったかということに関わります。
今回の依頼元は日本語教育に関わっているある方で、企業がどのような人物を欲しがっているか知りたいというものでした。大学の日本語学科の先生たちや、日本語専門学校の経営者たちにとって、学生の就職は非常に大きな関心ごとですが、その一方で自分たち自身は企業で働いた経験がない人が多いため、企業が実際にどのような人を必要としているのかをあまり理解していない場合があります。今回依頼されてきた方もそのような理由で日系企業の採用時の要望を確認しておきたかったようです。そして、学校で日本語を勉強している人たちは一般的に文系であり、就職先の職種も事務系の場合がほとんどですので、ボクは事務系人材に限定して日系企業の要望を書くことにしました。このようなわけで、ここでは事務系人材に限って話を進めていくことにします。
少し横道にそれますが、中国は全国の様々な大学が日本語学科を持っていて結構たくさんの人が日本語を勉強しています。ゴビーズが拠点を構える青島地区だけ見ても約10校の国立大学、私立専門学校が日本語学科を所有していて、日本語を勉強している学生数は1学年約1,000人になります(2010年1月ゴビーズ調査)。単純に毎年1,000人の学生が卒業し、仕事を探すことになります。各地域にこのような学校があるわけですから、中国全国で恐らく数万人の日本語可能人材が毎年就職活動を行うわけです。
一方、日系企業の数はというと、青島市近辺で約400社です。これらの企業で日本語学科卒業生を吸収しようとすると、単純に各社毎年2人以上事務系新人を採用しなければならない計算になります。ですが、実際にはそううまくいかず、かなりの卒業生が日本語を使わない職に就くと聞いています。当社の様な小規模な会社が毎年新人を2人も採用できるはずないですからね。
ちなみに、ほとんどの学校が卒業時に日本語能力試験1級[1]合格を必須としていますので、学生は個人差こそあれかなり日本語ができます。そのため、就職できるかどうかの差は、日本がより上手かどうか、または日本語以外に何か光るものがあるかどうか、ということがポイントになります 。
もともと仕事で書いたメールは、企業の採用担当者側からの観点で書きましたが、少し見方を変えると、このコラムは以下の人たちへのメッセージとも言えます。
|
No |
対象者 |
メッセージ |
|---|---|---|
|
1 |
日系企業へ就職を考えている人たち(特に学生) |
こんなポイントをよく見直して就職活動をがんばろう! |
|
2 |
日本語を教える立場にある人たち(先生、学校経営者) |
言葉だけ教えていても就職できる時代は終わりました。これからは言葉に追加してこのようなことも教えていける仕組みを考えていきましょう! |
|
3 |
日系企業の採用担当者 |
採用時はこのようなポイントに注意して評価してみてください!(恐らく無意識で行っていると思いますが) |
対象者が3者あるため、誰を対象として書いているのか時々分かりにくくなる部分もあるかもしれませんが、各視点から読んでいただければ幸いです。
それではさっそく日系企業が求める事務系人材像がどのようなものか見てみましょう。新卒、経験者をあまり意識せず、一般的に事務系人材として必要とされる要素を整理してあります。
1. スキル面
必要要件をスキル面と態度面の大きく2つに分けて整理してみたいと思います。まずは比較的測定しやすいスキル面からです。
1-1. 日本語が話せる
事務系社員採用の場合は日本語を話せることを条件に採用する場合がほとんどのため、比較的上手な日本語を要求されることが多くなります。日本語能力試験1級合格は必須です。1級合格レベルになると日常会話はほとんど問題なくできますので差が出るのは文章が書けるかどうかです。ビジネス文書が書ける人は採用されやすくなります。そしてビジネス文書が書ける人は、会話でもビジネス会話ができます。
1-2. 専門知識がある程度ある
会計、人事、法律、貿易、営業などの専門知識がある人は採用に有利です。何度も繰り返し書いていますが、現在中国では日本語ができる人は、その需要に対したくさんいます。そのため日本語ができるだけでは残念ながら価値があまりなくなりつつあります。10年前くらいまでは日本語ができるだけでかなり採用されたと聞きますが、現在は無理です。そこで必要になるのが、ある程度の専門知識。特に業界や業種の経験がある人は有利になります。新人の場合、専門知識はないので、この点では不利になります。1-3. 業務を丁寧にこなせる
事務系の場合、その名の通り事務がメインの仕事になりますので、業務を丁寧にこなせることが重要です。資料を作成できるか、関係者に気を配って作業できるか、計画を立てて業務を進められるか、同じ内容のことでも飽きずにしっかり遂行できるか、などの力が求められます。資料にまとめるのが苦手な人、飽きっぽい人は日系企業では避けられる傾向があります。1-4. パソコンを使いこなせる
事務系となると必ずパソコンを使用することになります。電子メールやインターネットは当然のこととして、ワード、エクセル、パワーポイント等のソフトを使用できることも重要です。特にエクセルは良く使うことになるので、自由に使えるようになっていたほうが良いです。
1-5. 自分で調べられる
事務系の場合、上司から調査を依頼されることが多くなります。そのとき、自分で調査できる人が就職に有利です。インターネット、電話、実際に行ってみる、等の手段を使って広範囲から適性に情報を整理する能力があると有利です。「どうやったらいいかわかりません」とすぐ口にするような人は就職しにくくなります。
1-6. マナーがしっかりしている
服装をふまえた身だしなみや、挨拶がしっかりできるかどうか、など、基本的なマナーがしっかりできていることが重要です。日本語で上手な敬語を使えるよりも、基本マナーをしっかりできているほうが重要です。常にメモを取るなども基本マナーの一つです。
2. 態度面
中国では何かとスキル面を重視した教育が目立ちますが、実は日系企業はこの態度面をかなり重視しています。ただし、態度を向上させるためには習慣を変える必要があるので、本人や学校側からするとかなり難しい課題になります。また企業側からすると、測定する方法がなかなか難しいので、判断するのがこれまた難しくなります。採用担当者の長年の勘に頼ることになりますね。それ以外にも判断方法はありますが、ま、その方法はゴビーズに問い合わせていただくとして、ここではとりあえず、態度面の重要なポイントをまとめておきます。
2-1. 素直である
分からないことは分からないと正直に言えたり、間違った場合はしっかりと謝れる素直さが必要です。すぐ言い訳する人や、何かにつけて文句ばかり言う人は採用とならないでしょう。
2-2. 気を配れる
事務系社員はお客様応対や、通訳など会社外の人と関わることが多くなります。時には上司と一緒にお客様と食事に行かなければならないこともあるでしょう。そんなときにさりげなく周りに気を遣って行動できる人が日系企業にはモテます。2-3. 明るく元気である
一緒に仕事をする場合は、明るく元気な人のほうがいいです。どんなにスキルが高くても、いつも仏頂面で暗い感じの人と一緒に仕事をしたいと思う人はいないでしょう。態度面は他にも考えればいろいろあると思いますが、業種や会社内での役割によっても求められることは異なると思いますので、最低限上記3つを抑えることができれば、求職者としては次のステップに進むことができるでしょう。
以上、言われてみれば当たり前のことですが、その当たり前のことを整理してくれる人は世の中になかなかいないため、ゴビ太郎が整理してみました。これからも時々当たり前のことを整理していこうと思います。
[1] 2010年より制度が少し変わり、現在は級数の呼称が変わったようですが、ここでは分かりやすくするために旧式の呼称を使用します。詳細は、運営団体の財団法人日本国際教育支援協会のホームページをご参照願います。 → http://www.jees.or.jp/jlpt/
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